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戯曲:世阿弥の世界

戯曲『世阿彌』の誕生

劇作家・山崎正和の初期代表作『世阿彌』は、世阿弥生誕600年にあたる1963年9月に東京の俳優座で、翌年9月には大阪の毎日ホール、神戸の国際会館、京都の京都会館第二ホールで上演されました。さらに『文藝』誌の63年10月号に掲載され、その年の岸田戯曲賞を受賞します。翌年9月には河出書房から単行本が刊行されました。

世阿彌初演のパンフレット
初出『文藝』1963年10月号
河出書房刊『世阿彌』

1956年、京都大学大学院在学中の山崎正和は、雑誌『悲劇喜劇に』に戯曲第1作『凍蝶』を発表、さらに1957年に京都の劇団「くるみ座」で上演されました。これをきっかけとして、61年に『呉王夫差』『オイディプス王』62年に『カルタの城』を立て続けに発表・上演し(『オイディプス王』は潤色)、美学研究者と劇作家の二足の草鞋を履くことになります。そこに京都労演から新作戯曲の移植が舞い込み、『世阿彌』が誕生することになったのです。

『世阿彌』世界へ

1964年にフルブライトの奨学金を受け米イェール大学のドラマスクールに留学します。ここで出会った日本学研究者ケネス・バトラーが、出版されたばかりの『世阿彌』を読んで興味を示し、翻訳して英訳版「ZEAMI」が誕生。これを同大学のノーマン・H・ピアスン教授に献呈したところ、資金を出すのでニューヨークで上演してみろという話になり、アジア・ハウスでの公演が実現しました。さらに1971年には、第34回フィレンツェ音楽五月祭で、イタリア語版「世阿彌」が上演されます。

英訳版「ZEAMI」(バトラー訳)
ニューヨーク公演での打合せ
イタリアでの山崎正和と演出家ジャン・ピエトロ・カラソ

世阿彌はその後1980年にトマス・ライマーによる英訳版が出版された他、1968年にドイツ語、1990年にスウェーデン語訳、1995年に中国語訳が出版されています。

トマス・ライマー訳 英語版Zeami
Jürgen Berndt訳 ドイツ語版
Christina Nygren訳 スウェーデン語版
王冬蘭訳 中国語版

1980年代以降の『世阿彌』

1987年に新劇団協議会が東京・大阪で、1988年には昴企画公演として日米での上演が行なわれました。1990年にはミュージカル化されたZeamiを神戸、東京で公演。さらに2003年には文化庁芸術祭協賛公演で上演されています。

新劇団協議会公演パンフレット
昴企画日米公演パンフレット
ミュージカルZeamiパンフレット
平成15年度文化庁芸術祭協賛公演パンフレット